特定技能制度や技能実習制度は、日本で働く外国人労働者を対象とした制度ですが、これらの制度を利用している外国人が、状況に応じて特定活動ビザへの切り替えが必要となる場合があります。
1. 特定技能制度における特定活動ビザへの切り替え
特定技能ビザは、特定の産業分野において、一定の技能を有する外国人が日本で働くためのビザです。特定技能ビザで働く外国人は、原則として特定活動ビザを取得する必要はありません。
しかし、以下のような場合には、特定技能ビザから特定活動ビザへの切り替えが必要となる場合があります。
- 特定技能ビザで認められた活動以外の活動を行う場合: 特定技能ビザで働く外国人が、特定技能ビザで認められた活動以外の活動を行う場合には、別途、特定活動ビザを取得する必要があります。例えば、特定技能1号の外国人が、特定技能2号の活動を行う場合や、特定技能ビザで認められた業務以外の業務を行う場合などが該当します。
- 特定技能ビザの有効期間が終了した場合: 特定技能ビザの有効期間が終了した場合、引き続き日本で活動するためには、他の在留資格への変更が必要です。この際、特定活動ビザへの変更が適切な場合があります。例えば、就職活動を継続する場合などが考えられます。
2. 技能実習制度における特定活動ビザへの切り替え
技能実習制度は、開発途上国等の人材育成を目的とした制度であり、技能実習生は、日本の企業で一定期間、技能を習得することができます。技能実習生は、原則として技能実習ビザで滞在しますが、以下のような場合には、特定活動ビザへの切り替えが必要となる場合があります。
- 技能実習期間が終了した後も日本に滞在する場合: 技能実習期間が終了した後も日本に滞在し、就職活動を行う場合や、他の活動を行う場合には、特定活動ビザへの切り替えが必要となります。
- 技能実習生の受け入れ企業が倒産した場合: 技能実習生の受け入れ企業が倒産した場合、技能実習生は、他の企業に転籍するか、帰国する必要があります。しかし、転籍先が見つからない場合や、帰国準備のために一時的に日本に滞在する必要がある場合には、特定活動ビザへの切り替えが認められる場合があります。
登録支援機関および雇用主への注意点
登録支援機関および雇用主は、特定技能外国人や技能実習生が、特定活動ビザへの切り替えが必要となる可能性があることを理解しておく必要があります。
- 特定活動ビザへの切り替えが必要な場合の手続きをサポート: 特定技能外国人や技能実習生が、特定活動ビザへの切り替えが必要となった場合には、登録支援機関や雇用主は、必要な手続きをサポートする必要があります。
- 特定活動ビザに関する情報を収集: 登録支援機関や雇用主は、特定活動ビザに関する情報を収集し、常に最新の情報を把握しておく必要があります。
フォンさんの場合(ケーススタディー):特定技能ビザから特定活動ビザへの切り替え、そして転職へ
ベトナム人のフォンさん(22歳)は、特定技能ビザで日本の建設会社に就労していました。しかし、2024年4月1日に会社の経営状況が悪化し、倒産してしまいました。フォンさんは、今後の生活について不安を抱えていました。
登録支援機関のサポート
フォンさんの状況を把握した登録支援機関は、フォンさんのサポートを開始しました。まず、フォンさんが日本で引き続き就労を希望していることを確認しました。
特定活動ビザへの切り替え
登録支援機関は、フォンさんが日本で転職活動を行うために、特定活動ビザへの切り替えが必要であることをフォンさんに説明しました。そして、必要な書類の準備や申請手続きのサポートを行いました。
具体的には、以下の書類を準備しました。
- 申請書
- 写真
- パスポート
- 雇用契約解除通知書(会社から発行されたもの)
- 預金残高証明書(生活費を賄えることを証明するもの)
- その他、入国管理局が必要とする書類
これらの書類を揃え、2024年5月1日に入国管理局に特定活動ビザの申請を行いました。申請理由書には、フォンさんの状況、今後の日本での就労希望などを詳細に記載しました。
特定活動ビザの許可
審査の結果、2024年6月1日にフォンさんの特定活動ビザが許可されました。これにより、フォンさんは日本で転職活動を行うことができるようになりました。
転職活動のサポート
登録支援機関は、フォンさんの希望条件などを考慮し、転職先の候補となる企業を探しました。そして、フォンさんに求人情報を紹介したり、面接対策を行ったりするなど、転職活動を全面的にサポートしました。
新たな特定技能ビザの取得
2024年8月1日に、フォンさんは新しい建設会社に採用されることが決まりました。登録支援機関は、フォンさんがスムーズに転職できるよう、新たな特定技能ビザの取得をサポートしました。具体的には、以下の手続きを行いました。
- 新しい雇用契約書の作成
- 新しい受入れ企業の登録
- 特定技能ビザの変更申請
これらの手続きを経て、2024年9月1日にフォンさんは無事に新しい特定技能ビザを取得し、新たな職場で働くことができるようになりました。
時間軸
- 2024年4月1日:会社倒産
- 2024年4月15日:登録支援機関によるサポート開始
- 2024年5月1日:特定活動ビザ申請
- 2024年6月1日:特定活動ビザ許可
- 2024年6月1日:転職活動開始
- 2024年8月1日:新しい会社への内定
- 2024年8月15日:新しい特定技能ビザ申請
- 2024年9月1日:新しい特定技能ビザ許可
- 2024年9月1日:新しい職場での就業開始
まとめ
フォンさんのケースでは、登録支援機関が、会社倒産で職を失った特定技能外国人のサポートを行い、特定活動ビザへの切り替え、転職活動の支援、新たな特定技能ビザの取得まで、一連のプロセスをサポートしました。登録支援機関は、特定技能外国人にとって、非常に重要な存在であることがわかります。
教訓
- 特定技能外国人が会社の倒産などで日本での就労が困難になった場合、特定活動ビザへの切り替えが可能な場合があります。
- 登録支援機関は、特定技能外国人のビザ申請や転職活動をサポートする重要な役割を担っています。
- 特定技能外国人は、困ったことがあれば、まずは登録支援機関に相談することが大切です。
補足
- 上記はあくまで一例であり、実際の手続きや期間は、個々の状況によって異なります。
- 特定活動ビザの申請には、入国管理局の審査が必要であり、許可されるまでに時間がかかる場合があります。
- 転職活動は、本人の希望条件や能力、企業の採用状況などによって、期間が変動します。
Disclaimer:
This information is for general guidance only and does not constitute legal advice. For specific legal advice, please consult with a qualified immigration lawyer.