技能実習生や特定技能外国人の受け入れ支援を行う登録支援機関の皆様は、海外の送り出し機関との連携や、受け入れ企業との現地確認など、海外渡航の機会が多くあります。しかし、渡航の度にビザを取得したり、入国審査に時間を費やすことは、業務の効率性を大きく損なう要因となります。
そこで、登録支援機関の皆様にぜひ活用していただきたいのが「APECカード」です。
APECカードとは?
APECカード(APEC・ビジネス・トラベル・カード)は、アジア太平洋経済協力(APEC)域内を頻繁に出張するビジネス関係者のために発行される特別な渡航カードです。このカードを持つことで、参加国・地域への短期商用渡航が格段にスムーズになります。
APECカードの主なメリット
- ビザ免除:
- 通常、短期商用目的で渡航する際に必要なビザの取得が不要になります。これにより、ビザ申請にかかる時間と費用を大幅に削減できます。
- 入国審査の迅速化:
- APECカード保有者専用のレーンを利用できるため、入国審査の待ち時間を大幅に短縮できます。多忙なスケジュールの中で、時間を有効活用できます。
- 信頼性の証明:
- APECカードは、参加国・地域政府から信頼されているビジネス関係者であることの証明となります。これにより、海外でのビジネス活動における信頼性を高めることができます。
- 複数国・地域への自由な渡航:
- 1枚のカードで、複数のAPEC参加国・地域への渡航が可能になります。これにより、国・地域ごとのビザ申請の手間を省き、効率的な渡航計画を立てることができます。
- 有効期間の長さ:
- APECカードの有効期間は5年間と長く、頻繁に海外出張を行う方にとって非常に便利です。
APECカードを使わないことの不便さ
APECカードを持たないことで生じる不便さは、ビジネスの効率性、時間、そして経済的な側面において顕著です。
- ビザ取得の煩雑さと時間的コスト:
- ビザ申請には、書類準備、大使館への訪問、審査待ちなど、多くの時間が必要です。特に、複数の国を訪問する際には、それぞれの国でビザを取得する必要があり、その手間は膨大なものとなります。
- 登録支援機関の業務は多忙を極めるため、ビザ取得に時間を費やすことは、本来の業務を圧迫し、機会損失にもつながります。
- ビザ取得の可否は、常に不確実性を伴います。審査結果が出るまで、渡航計画を確定できず、ストレスを感じることも少なくありません。
- 特に、急な出張が必要になった場合、ビザ取得が間に合わず、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。
- 入国審査の遅延とストレス:
- 通常の入国審査レーンは、常に混雑しています。特に、繁忙期には数時間待ちとなることも珍しくありません。
- APECカード保有者専用レーンがない場合、長時間の待ち時間を覚悟する必要があり、疲労やストレスが蓄積されます。
- 入国審査の遅延は、その後のスケジュールにも影響を与えます。会議や商談に遅れることで、相手に悪い印象を与え、ビジネスチャンスを失う可能性もあります。
- 特に、乗り継ぎ便を利用する場合、遅延によって乗り遅れてしまうリスクも高まります。
- 経済的コストの増加:
- ビザ取得には、申請手数料や書類作成費用など、さまざまな費用がかかります。特に、頻繁に海外出張を行う場合、これらの費用は無視できない金額となります。
- APECカードがあれば、これらの費用を大幅に削減できます。
- ビザ取得や入国審査にかかる時間を、時給換算すると、その経済的損失はさらに大きくなります。
- APECカードによってこれらの時間を短縮できれば、より効率的に業務を行い、収益向上につなげることができます。
- ビジネスチャンスの損失:
- ビジネスでは、急な出張が必要になることが多々あります。APECカードがあれば、ビザなしで迅速に渡航できるため、ビジネスチャンスを逃しません。
- ビザ取得に時間がかかる場合、競合他社に先を越され、契約を逃してしまう可能性もあります。
- 入国審査で時間がかかり、会議や商談に遅れることは、相手からの信頼を損なうことにつながります。
- APECカードを所持していることで、スムーズな入国審査を済ませることができ、相手に良い印象を与えることができます。
APECカードの対象者
APECカードは、以下の要件を満たすビジネス関係者が対象となります。
- APEC参加国・地域のいずれかに本社または支社を持つ企業に所属していること
- 頻繁にAPEC域内への出張があること
- 犯罪歴がないこと
APECカードの申請方法
APECカードの申請は、外務省のホームページからオンラインで行うことができます。申請には、以下の書類が必要です。
- パスポート
- 顔写真
- 在職証明書
- その他、必要に応じて追加書類
APECカード利用時の注意点
- APECカードは、短期商用目的の渡航にのみ利用できます。観光や留学などの目的では利用できません。
- APECカードで渡航できるのは、APEC参加国・地域のみです。
- バーチャルABTCが交付された時点(日本承認時)で、現在お持ちの有効なプラスチックABTCは失効します。
- バーチャルABTCの「新規交付申請」を行う場合(「切替申請」ではありません)、現在お持ちのプラチックABTCに対して既に付与されている各国・地域の承認は、バーチャルABTCが交付された時点で全て無効となりますのでご注意ください。
- 出入国時のトラブルを避けるため、「新規交付申請」を行った後は、お手元のプラスチックABTCの利用はお控え頂くことを推奨します。
- バーチャルABTC(日本承認されたもの)に対する各国・地域の審査は、バーチャルABTCの交付後から開始され、随時にこれら各国・地域から新たに承認が付与されることとなります。
- バーチャルABTCを利用したご出張を予定されている方は、出入国時のトラブルを避けるため、ご出張前に訪問先の国・地域から承認が付与されていることを必ずご確認ください。
- APECカードの制度は、予告なく変更される場合がありますので、常に最新情報を確認するようにしましょう。
まとめ
APECカードは、登録支援機関の皆様が海外での業務を円滑に進めるための強力なツールです。ぜひAPECカードを活用し、海外での活動をより快適に、そして効率的にしてください。
【関連情報】
- 外務省 APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC):https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/apec/btc/index.html
【免責事項】
- 本記事は、2024年6月時点の情報に基づいています。
- 本記事の内容は、予告なく変更される場合があります。
- カードの取得要件や、その他詳細な情報については、必ず外務省のホームページをご確認ください。
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